1.3.16

宮宿より四日市宿へ十四キロ


泊まったホテルの部屋が塗装なのか壁材なのか、嫌な臭いでどうも気の落ち着かぬ夜を過ごした。

今日は渡しを電車で越えるため歩く距離が少ない。ゆっくりと名古屋城を見物しにゆく。
朝の栄は道が汚い。個人的な名古屋の印象は悪くなるばかり。




ここに来るまでいくつも城を見てきたがさすがは天下にその名を轟かす名古屋城、荘厳ないで立ち。
異名を金鯱城とする所以、金の鯱もその姿を燦然と輝かす。

伊勢音頭に

伊勢は津でもつ津は伊勢でもつ尾張は名古屋の城でもつ

と詠われているようにその昔から名古屋のシンボルであった名城だ。




上の兜は黒漆塗鉢巻形兜。米国映画で使われそうなハンサムな姿かたちをしている。

下は本丸御殿天井画。梅とおぼろ月を描いたもの。ひとつをとってもこれだけ優美な風情のある作品が天井を埋め尽くしていたのだから、それはそれは豪華なものだったのだろう。



天守閣からは名古屋の市街地が一望できる。奥に見える山々は今も昔も変わらぬ姿なのだろうか。





ひとり大きな荷物を背負い続いて向かうは再建された本丸御殿。
金をふんだんに使ったものの見事な贅沢御殿。襖絵の豹や虎の目の鋭さは今にも浮きいでてきそうな勢いであったが、個人としてはこの色彩は好まれなかった。



築城の名手加藤清正も携わったという立派な武者返しを眺め、城をあとにする。

いよいよ名古屋駅から関西本線にて桑名へ向かう。
「七里の渡し」というくらいだからその距離およそ七里(約廿八キロ)ある。

桑名駅に降り立てば伊勢国三重県に入る。



桑名側の渡し場。この周辺に四十二番目の桑名宿が置かれていた。

蛤が有名な桑名を出てのんびり歩く。
三滝川を渡りほどなくして四十三番目の四日市宿へ着いた。
諏訪神社からつづく商店街を抜け近鉄四日市駅のそばが旧宿場。

今夜はここで宿をもとめる。
名古屋城を見学したこともあり、結局それなりに歩いた一日。
まちゆく人のおしゃべりも関西弁がきこえてきた。

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