21.2.16

江尻宿より藤枝宿へ三十二キロ


一日休めば元気も戻る。軽くなった荷も足取りを早める。

東海道本線に沿ってゆくとはや十九番目の府中宿に着いた。ここは家康公の隠居先駿府城のお膝元。げんざいの静岡駅周辺である。

城下にあった二丁町遊郭は東海道の名物の一つ。その一部が江戸へ移され吉原遊郭ができたというから、本家はこちらということか。今そのあたりには静岡県地震防災センターがある。
全ての殿方にはつらい時代が58年から今日までつづいている。



遊郭に思いをはせているあいだに安倍川をこえ、廿番目の鞠子(丸子)宿へやってきた。
安倍川餅も有名だが、ここの名物はとろろ汁。旅が盛んであった江戸の時分にはとろろ汁を出す店が軒を連ねていたそうだが、今その姿を残すは老舗丁子屋のみ。

癪の虫も穏やかだったために歩を緩めず通り過ぎる。今さらながら食えばよかったと後悔のこる。



丁子屋横目に通り抜けた足取りそのままに駿河路の難所宇津の山路に入る。






峠越えにゆくは平安時代からつづくその名も蔦の細道。獣道のような細い道のうえにかなりの急登とくる。それでもやはり足には優しい。伊勢物語の一説が名の起こりらしく時代を感じる。

急登を一気に登ると宇津の谷の稜線にでる。岡部口へ降りふたたび国道一号線に合流。





楽しい峠道も終わり国道からそれると廿一番目の岡部宿が見えてくる。
大旅籠の柏屋は国指定の文化財としていまもきれいに形をのこす。

朝比奈川もこえ雀色時になると蹴球で名高い廿二番目の藤枝宿に着いた。
ようやっと順調な旅ができホテルにゆくと、このホテルがまた粋。ペイチャンネルがペイでない。見放題ときた。
こりゃありがてえとあらかた見通す。
いつの時代も男は男。女郎を買えなくなっただけ。

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