17.11.15

5.終わりの地、マドリードへ


なんにでも、始まりがあれば終わりがあります。物語にプロローグとエピローグがあるように、太陽が昇って沈むように、また、人間が生まれて死ぬように。この巡礼にも始まりと終わりがあり、今日がその終わりの日です。


本当に本当に残念で仕方がなかったのは、旅の日程上どうしてもセヴィージャには1日しか滞在できなかったこと。あゝ、もっとこの街のことを知りたかったなあ。ベニート・ビジャマリンにも行きたかったなあ。地のもの旬のものの料理も食べたかったなあ。フラメンコだって見たかったなあ。何よりもっとここの人たちにいろいろなことを聞いてみたかったなあ。


かなり後ろ髪をひかれる思いで(後ろ髪など持ち合わせておりませんが)、鉄道にてマドリードへ向かいます。


ここは気持ちを切り替えて、せっかくマドリードへも行くのですから楽しみましょうよ。ね。


ガイドブックを開き、マドリードのページを眺めます。お、一つ目的を見つけたゾ。


さてマドリードに到着です。帰ってきました、この旅の始まりの地。ホテルは初日と同じところをとっておいたので、迷わず到着。お土産の調達とともにマドリードを散策します。


さすがに、世界にその名を轟かせる街だけあり中心地は観光客でごった返しています。ミッキーっぽいキャラクターとかでぶっちょスパイダーマンとか、趣向を凝らしていない、雑なパフォーマーたちも、そこらかしこで金をせびっています。1セントもあげません。






人ごみをすり抜けながら、向かうは唯一見つけた目的地でございます。狭い路地を入ってくるとそのお店が見えてきました。赤く光るは「CHOCOLATERIA」の文字。店の中ではみな一様にあるものをおいしそうにほおばっていました。それがこちら。




チュロスでございます。このお店の名物はチョコレートチュロス。ホットチョコレートにチュロスをつけていただきます。


甘党の私は「スペインといえばチュロスでしょう。それにマドリードの人気店と来れば行かなきゃね。」というわけで、列に並び注文します。


早速一口食べてみると、うん、想像していたよりおいしい!と言うのも、やっぱり口の中がもたついてしまうくらい甘いのかなあ、と想像していたのです(きっと同じように想像する方も多いはず)。それが、どうしてどうして一本食べ終わってもちっともしつこくありません。チュロス自体には何も味付けされておらず、サラッと揚げられていることと、何よりも、ホットチョコレートの甘さと濃さがよくできているのです。チョコレートの甘さと風味は残しつつ、薄すぎないいいラインをついています。


私のもともとの想像が低かったのか、実物が相当においしいのかは、マドリードに行った際に食べてみてください、としか言えません。「そこをできるだけ伝えるのがこの仕事でしょうよ。」と、はい、おっしゃる通りでございます。失敬。


小腹を満たし、目的地を早くも消化した我々は、とりあえず王宮でも見に行くかと歩き出します。








これ、建物の壁に貼られている、道の名前が書かれたタイルなのですが、とっても素敵ですよね。これの写真を撮るだけの散歩も楽しいかもしれません。






先に見えてきたのは、王宮のお隣にそびえる大聖堂。どこの大聖堂を見ても思うことなのですが、本当によく作ったなあ。






こちらが王宮。バッキンガム宮殿とかヴェルサイユ宮殿と似たような作りに見えます。王様が住むとなると(現在は住んでいないそうです)こういう作りになるものなのでしょうか。


カフェで一服し、暗くなり始めたので夕食をとることに。この旅初めてきちんとしたレストランに入りました。やっぱり写真を撮っておけばよかったなあ。


スーパーで、明日の朝食とお土産を買い込み、売春婦だらけの通りを抜けてメトロの駅を目指します。22:00を過ぎたころの中心地はあんまりいい雰囲気ではありませんでした。


ホテルに到着したのは23:00ごろ。息をつくのも束の間、荷物のパッキングを始めます。生ハムを隠し入れ(国内への持ち込みが禁止されています)、明日着ていく以外の衣類も入れ終わり、ようやっと一息つきます。しばらくこの巡礼を思い返しながら、来る明日の長時間フライトに向けて床に就くのでした。



翌朝は、7:30にホテルを出発し、8:00には空港に到着です。チェックインを済ませ、デューティフリーの店でお土産を買い込み、11:00には出発です。長い長いフライトの始まりです。


行きと同じように、手厳しいモスクワを経由し、度重なる移動により満身創痍ながら、無事成田へと戻ってきたのでした。


疲労感とともに充実感を抱き、「また行く」と心に誓います。


私の記憶に強く焼き付いた今回の巡礼はこうして幕を閉じたのでした。新たなる巡礼の始まりの予感とともに。



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