21.4.15

ハロウィーンとイースターと大騒ぎ

近年ハロウィーンを祝う人々が日本でも増えている。
思いおもいの仮装をし、ハロウィーンパーティーなる催しに参加したり、仲間内で集まったりするらしいのだ。
しかしその楽しみ方が問題で、昨年の渋谷のスクランブル交差点では、信号が青になるたびに、道路中央でわけもなくハイタッチする、仮装した人々で溢れた。
あのサッカーワールドカップの日本戦の時より多かったとの話もある。

ハロウィーンを祝うことについて私個人は、賛成派である。
私自身小さいころから欧米文化への漠然とした憧れがあり、小学生のころからハロウィーンを知っていたし、少しでもハロウィーンっぽい気分にしたくて、自分なりに駄菓子を買って一人でハロウィーンを満喫していた。
小学校卒業記念にもらった『ジュニア・アンカー英和辞典』の“HOLIDAY 英米の祝祭日”というページを眺めるのが好きで、「今アメリカではこんなに楽しそうなお祭りの最中なのかぁ、いいなぁ。」などといつも思っていた。
こんな人物であるから、もちろんハロウィーンだけでなく、クリスマス、そしてイースターも大好きだ。

今、東京ディズニーリゾートは春のイベント、「ディズニー・イースター」が開催中だ。
今年から東京ディズニーシーでもイースターのイベントが始まり、リゾート全体がイースター一色になっている。
パークのところどころに、イースターエッグやイースターバニーが飾り付けられ、華やかで可愛らしい春の訪れを感じさせる。

そもそもイースターがどんなお祭りなのかご存じだろうか。
イースターとは別名復活祭と呼ばれ、イエスキリストの復活を祝うキリスト教のお祭りであり、キリスト教圏では、クリスマスとならんでとても大切な行事とされている。
太陰暦で決められたため、現在使われている太陽暦では移動祝日でとなり、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日、と決められている。ちなみに今年は4月5日だった。
飾り付けるイースターエッグは、動かない卵から生命が生まれるということで、死と生のシンボルとして、イースターバニーは、ウサギは子だくさんであることから、豊穣のシンボルとして、命が芽吹く春分の象徴とされ、イースターには欠かせない。
子どもたちはイースターエッグハントをして楽しんだり、家族やご近所同士で料理を持ち合い食事をして過ごすのがイースターの定番。

ハロウィーンが定着し始めた昨今、イースターも流行り始めるのではないかと私は常々思っている。
欧米のスーパーマーケットでは、バレンタインデーのシーズンが終わるとイースター商戦が始まり、イースターエッグやイースターバニーを模したチョコレートが棚に並ぶのだとか。
ハロウィーンもそうだが、製菓メーカーとしてはありがたいイベントであるだろうし、鶏も忙しくなるだろう。
移動祝日であることから、すこしは太陰暦にも興味を持つ人が増えるだろう。(もちろん日本の祝日にも旧暦のものがあるが、“辺境人”であるからか、自国のものには見向きもしない。)

こうした楽しいお祭りは、まだまだ世界中にたくさんある。
私自身キリスト教ではないけれど、これからもイースター、ハロウィーン、クリスマスをはじめ、ほかのお祭りも、由来を知り、理解を深め、ひそかに楽しむだろう。

色々な海外の文化が入ってくるのはいいことだ。そうすることで、ほかの地域への理解が進み、逆説的だが、日本人たる自分のアイデンティティの確立にも繋がる。
もちろん、騒ぎ合う口実として使われるのは甚だ心外であるし、全くもって共感できない。もっと素直にハロウィーンやイースターが広まってほしい。
おかしな恰好をして、人に迷惑をかけながらハイタッチし合う姿を見、英和辞典を羨望のまなざしで眺めていた元少年は、こんな複雑な思いに駆られるのだった。

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