13.4.15

志ん生と黄金餅〜落語のすゝめ〜

三代目、三代目とよく耳にし、なんの三代目かと思っていたら、三代目J Soul Brothersのことなんだとか。一代目二代目を知らない私はなんのことだからさっぱり分からずにいた。
襲名披露公演なんかもやるのだろうか。


落語が好きな私にとって、三代目と言われれば、先日亡くなった桂米朝であり、三遊亭金馬であり、古今亭志ん朝なのである。

このクラスの名人の噺はそれぞれに味わい深く、本当におもしろい。
そんな名人達のなかでも、ひときは人々を魅了し、落語のひとつの形を作った落語家に、五代目古今亭志ん生がいる。

昭和を代表する落語界の巨匠で、八代目桂文楽と双璧をなし、人気を二分した。
「一丁入り」の出囃子で登場し、飄々とした天衣無縫な語り口で人気を博した名人であり、十代目金原亭馬生と古今亭志ん朝の実の父親である。

五代目志ん生の得意とした演目に「黄金餅」というものがある。

お金を貯めるだけためて、使わずに貧乏長屋に住んでいた西念という和尚が、ある日患って動けなくなる。
隣に住んでいた金兵衛が見舞いに行くと、西念はあんころ餅が食べたいと言う。
買って渡すと、その餅の中にお金を詰め込み飲み込み始める。
全部の餅を食べ終わると、苦しみだして死んでしまう。
これを見ていた金兵衛は、どうにかこの金を自分のものにしようと思い、同じ長屋の連中にはウソをつき、自分の菩提寺である、麻布絶口釜無村の木蓮寺まで長屋の連中とともに仏さんをその日の夜のうちに運んでいく。
貧乏寺の木蓮寺の和尚に変なお経を上げてもらい、焼き場の切手を買って焼き場へ向かう。
焼き場に着き、火葬を頼むも真夜中だから翌朝にならないと火葬できないと火夫に言われるが、どうしても今焼けと金兵衛は譲らず、夜のうちに焼いてもらう。
焼き終わり、西念の遺言なんだ、だとかウソをつき遺体のところに金を見つけに行くと、金兵衛の思惑通り、腹のあたりから沢山の金が出てきた。
金兵衛はこの金を元手に、目黒で餅屋を開き大繁盛した。江戸の名物「黄金餅」の由来の一種、と噺はおわる。

このように、落語には一見ダーティな噺が数多くある。
しかし、登場人物の話し方や間の取り方で、なんともバカらしくて、人間味溢れる魅力的な噺になってしまう。
この意味でも、古今亭志ん生の人間味あるれるバカらしさの表現は、特徴的で群を抜いてうまかった。

その技術について、息子の古今亭志ん朝も「真似しようとして出来るものではない」と述べている。

現在、古今亭志ん生の名跡はこの五代目の没後空席となっている。
五代目の活躍があり落語界最高峰とも言うべき名跡になった古今亭志ん生を襲名するのは、相当な覚悟のいることだとは思うが、新たな名人の誕生を願ってやまない。

もちろん、いつか六代目を襲名する落語家にはファッション的な人気ではなく、本当の日本人の豊かな心をもつ人柄と、確かな技術で人気を博してほしいのもだ。








五代目古今亭志ん生 黄金餅
youtube動画のリンクです。音声のみです。気になった方はこちらからどうぞ。

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