18.2.15

お月様と中国人


「女郎の誠と四角い卵と晦日の月」

これが何を指しているかわかるだろうか。
落語の枕で“この世にありえないこと”の例えである。新暦になじんだ私たちであるから“晦日の月”?な人も多いのではないだろうか。

今日は旧暦の大晦日。新月である。
歌川広重作『名所江戸百景』内、『王子装束ゑの木 大晦日の狐火』でも、新月の張りつめた暗闇に狐火が映える。

ここでいう旧暦とは天保暦である。太陰太陽暦であるから、月の満ち欠けが基準であり、新月から次の新月までが1ヶ月(一朔望月)となる。

つまり、毎月一日(朔日)は新月、八日に上弦の月、十五日に満月が来て、二三日に下弦の月、三十日は新月となるわけだ。

しかしこれでは一ヶ月約二九.五日にしかならず、このまま一年十二か月としていると、どんどん月がずれてしまう。四季のある土地柄であり不都合が多いため「閏月」を入れ、さらに太陽の動きに合わせて作られた二十四節気七十二候を取り入れ、季節感を生かした。

立春、春分、夏至、秋分、冬至などが二十四節気の中でもよく聞くものであろう。
旧暦日付、二十四節気七十二候を表示してくれるアプリがあるので、現代でも親しむことは無理でもない。

いまも旧暦の行事を大切にし、それをもとにお祭りがある国に、日本でもおなじみ中国がある。
この時期になると、どこの局のワイドショーでも取り上げられる、旧正月を利用して観光、買い物に来る中国人観光客の団体。

秋葉原で炊飯器を五つも六つも買ったり、薬局で日本の化粧品や薬品を大量に買っていく人がたくさんいるから、毎回驚かされる。
日本観光局(JNTO)によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客の数は過去最多1340万人で、なかでも中国からの観光客は前年比83%強の増加だったそうだ。
訪日外国人観光客の国別内訳を見てみると、台湾が1位であった。中国と同じく、今も旧暦に親しみ旧正月を祝う国だ。

尖閣諸島問題、偽製品の販売、環境汚染...何かと嫌な報道ばかり先行してしまう中国だが、旧暦に親しみ季節を楽しむ、そんな中国人の生活を見、今一度旧暦にふれてみてはいかがだろうか。

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