18.2.16

箱根湯本より三島宿へ廿八キロ


帰り荷の重さをはかると十八キロ。その半分近くをテント寝袋が占めていた。冬も深まる一月中旬、野宿はあきらめビジネスホテルの旅となり、じゃらんのアプリをダウンロードする。

すっかり身支度をすませ、軽くなった荷を担いで再び出発するは成人の日の翌日一月十二日早朝。これより電車で湯本を目指す。
眠い目をこすりながらスーツにまぎれもといたにぎやかな温泉街に戻ってきた。いよいよ箱根の峠越え。






難所よろしく坂にもさまざま名がついている。女転し坂など当時の苦労が想像される。









驚いたことに箱根の峠道は江戸の当時の様子が分かるよう石畳が再現され、区間によっては当時のままの姿でのこされている。江戸の時分には行きかう人びとも多かったであろうが、時分が変われば人も変わる。歩いている人などほとんどいない山道の寂しいことこの上ない。



間の宿畑を過ぎ追い込み坂をこえたあたりにある甘酒茶屋。そのむかしから箱根路をゆく旅人の疲れをいやしてきた。
この日の冷え込みは強く、この辺りで小雪がちらつく。ゆっくりしちゃいられないと甘酒ものまず先を急ぐ。





芦ノ湖が見えてくるとのぼりも終わり。その足で箱根の関所へ行けばそこは元箱根。東海道十番目の宿場だ。
関所と資料館の見学もそこそこに、再び歩き出す。



箱根峠をこえ静岡県に入る。こうしてみると神奈川県というのは人が考えるより広い。






西側の坂も石畳が続く。コンクリート舗装の道より石畳なり土なりの道のほうが身体にいい。ひざにもこしにも負担が少ない。

ともあれ小雪もあいまって道中の心細さったらない。イノシシならまだしも、全身白コーディネートで黒の長髪ストレート、頭に白バンダナまきつけた透けて見えるくらい白い肌の江戸時女子になんざ出てこられた日にはたまったもんじゃあない。
そんなことを考えるってえと自然歩みが速くなる。

三島スカイウォークなる大吊橋を右手に見ながら走るように山を下る。西方最後の難所こわめし坂を下ればようやっと三島の市街地が見えてきた。





箱根の峠を越えた最初の宿場三島宿は五十三次の十一番目。東海随一の神社三島大社の座するところ。
じゃらんで予約した最安ホテルに向かう。

三平:きったねえホテルだなあ。まあいいんだいいんだ。旅人が貧乏でホテルが貧乏でちょうどいいや。

さすがに疲れた足腰を風呂で癒し、明日の長旅にそなえ早々と床についた。

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