15.11.15

3.いざ、ラ・ロサレダヘ


前夜に食べた生ハム(寝る直前なのに10切れも食べちゃった)による胃もたれと、時差ボケによる頭痛により不快な朝を迎えた私は、どうにかこうにかベッドから起き上がり、外出の支度を整えます。


ボーっとする頭をゆすり、今日の日程を確認。そうです。今日は一つ目のメインイベント(“メインイベント”なのに“一つ目”というのはちとおかしいかしらん?)、ベティスvsマラガを観戦しに行くのです。それ以外の用事は特になし。私にとっては人生で初めて我が愛するクラブの試合を生観戦するわけですから、気持ちも入ります。


キックオフは22:00(遅っ)。それまではスーパーで次の日の朝食を調達したり、散歩したり、寝たり。つまり何もせずに過ごします。




お散歩の最中にベティスのバスが!

クゥーっ!

フットボールが好きじゃない人には理解しがたいかもしれませんが、これを見ただけで十分テンションが上がるものなのです。安上がりでいいでしょう?




昨日通りかかり気になっていた市場に、フラっと立ち寄ってみました。






活気に満ち溢れた、その場にいるだけで元気の出ていそうな場内を散策します。
キノコおいしそう。たくさんの種類が並べられていましたから、きっと今が旬なのではないでしょうか。








今日は土曜日、みな今夜の夕食の食材を買いに来ているのでしょうか。お店の人と何か言葉を交えながら、それぞれに欲しいものを買いそろえてゆきます。





マラガにイワシは欠かせません。串焼きにして食べるんだとか。次回来た時には食べるゾ。
生ハムももちろん。この風景はヨーロッパならでは、と言ったところでしょうか。




昼食は近くのカフェでサンドウィッチを。味は、サンドウィッチでした。お腹はかなり膨れましたよ。
コーヒーを愛するGKは、今回の旅でcafe con leche(直訳すると、「コーヒーと牛乳」)がお気に召したそうで、滞在中好んで飲んでいました。写真のコーヒーもまさしくそれです。ちなみに、私はエスプレッソ。選択の余地なしです。


腹ごしらえも済んだところで、いったんホテルに戻り試合に備えて仮眠をとります。


起きたら6:00、出かける支度をすればちょうどいい頃合いです。日中暖かい街も日が沈めば冷え込みます。Ruben Castroのユニフォームはパーカーの中にしっかり着込んで準備万端。アウェイですから、一応ね。マラガのウルトラスなんかに会っちゃって、絡まれたらいやですから。


マラガのホームスタジアム「ラ・ロサレダ」へはホテルから歩いて15分ほど。胸を躍らせながら歩いていると、見えてきました。







キックオフの3時間前ほどに着いたのですが、すでにスタジアムの周りには両チームのサポーターたちでにぎわっています。


この日、心配事が一つありまして(こうしてみると、これまで心配事のなかった日はありませんね)、インターネットでチケットを買った際、間違って子供用のチケットを買ってしまったようなのです。しかしまあ席は確保しているわけだから、差額を払えば入れてくれるだろうと、どうにかなるだろう精神でいたわけです。


早速その旨を伝えると、「オレよくわかんないから、ちょっと聞いてくる」と係りの若いおにいちゃん。そりゃあそうか。そんな奴いないでしょうしね。


帰ってくると、開口一番「ノー。」

ちょっとちょっと。本当に?おにいちゃんいわく「ごめん、不可能みたいよ。」だって。間違ったのは私ですから、悪いのは100%私です。だからこそ粘ります(迷惑ですねー)。

私:「何とかならない?」おにいちゃん:「ごめん、無理みたいなんだよね。あと1時間したらゲートが開くから、ゲートの人に聞いてみて。」

もちろん相手はスペイン語です。どうにかこうにかこんな風なことを言っているな、と聞き取って可能性があることを心の頼りにします。ありがう、親切なおにいちゃん。私が悪いのです。




とりあえずゲートが開くまでスタジアムに併設された、マラガのショップでお買い物。私はベティスを応援する身ですから、もちろん何も買いません。でも、マラガのグッズ、カッコいいなあ...いやいや、買いません。


GKの買い物が終わり、不安だったので、念のためもう一度チケット売り場に行き、今度は違う係りの人(若いおねえちゃんでした)にチケットのことを聞いてみると、後ろから見た感じでは先輩おねえちゃんが寄ってきて、英語で丁寧に説明してくれました。先輩おねえちゃんいわく、「チケットを大人用に交換することはできないから、新たにチケットを購入しなけばいけない。今一番安い席で€55。ごめんなさいね。そうでなければ、そのチケットで入れるかトライしてみて。入れなければまたチケットを買いにくればいいし。」

この人たちは本当に親切だなあ...って、そのアドヴァイスはOKなの?チケット売る側の人が「トライしてみて」って。

まあ先輩おねえちゃんの言うことですから、トライしてみましょうじゃあありませんか。


ゲートがあくまでまだ少し時間があったので、その辺をぶらぶら。せっかくだからベティスサポーターたちと写真を撮ってもらおう。







皆さまアルコールも入り、すでにご機嫌です。「一緒に写真撮ってもらえるかな?」なんて心配はしなくてよさそうです。
さあ、パーカーを脱いでRuben Castroのユニフォームがあらわになります。その瞬間、

「Ohhh!!!」

手招きとともに半ば強引にベティスサポーターの中に引き込まれます。そうかと思ったらなにやら叫び始めます。スペイン語だからわからない。そんなの関係ありません。私も一緒になって訳も分からず飛び跳ねます。







「ああ、俺もベティコの一員になれたんだ。」そんな気がした瞬間でした。しばらくこの人たちからの質問攻めに合い(どこから来たんだ?お前はどうしてベティスを好きになったんだ?この試合のためだけにスペインに来るなんて頭おかしいのか?などなど)写真もひっきりなしに撮られていると、来ました来ました、ベティスのウルトラスです。ウルトラスというのは簡単に言えば、そのチームを中心となって応援しているグループのこと。主にゴール裏にいます。




仲良くなったベティコいわく、「あいつらはちょっと狂ってるからね。スタジアムに着くのがみんなより遅くなるのは、いつもドラッグとかで警察とひと悶着あるからなんだよ。はっはっは。」

そうでしょうね。みんななんだか黒いもんね。どうしてどこもウルトラスは黒いんでしょうか。伝わらないかもしれませんが、やっぱりウルトラスが来ると、ちょっと空気が変わります。警官たちもピリつきますし、マラガサポーターたちは静かです。


無事(かどうかは知りませんが)ウルトラスの入場も終わり、仲良くなったベティコ達ともお別れし、私たちもスタジアムへ向かいます。内心ドキドキしながら。


ゲートは日本の電車の改札のような作りになっていて、バーコードをセンサーに読み込ませて入場します。

「ピッ」

「ピッ」

入れちゃった。セキュリティのおとうさんおかさんも「東洋人なんてめずらしいね」ぐらいな感じで、ニコニコしながら迎え入れてくれます。またもや心配損。でもよかった。(本当は€40以上かかるところを、€15ほどで入っちゃった)


座席からの眺めはこんな感じ。




芝生の状態までわかるくらいピッチとの距離が近く、とても見やすかったです。



こんな感じで写真を撮っていると、写真左上の一角を占めるベティスサポーターが私に気が付き「いいぞー!」てな感じで沸きます。いいですねー、この雰囲気。

しかし東洋人がよほど珍しいのか、はたまたマラガ人、引いてはアンダルシア人が人懐っこいのか、たくさんの人に話しかけられ写真をお願いされました。






みんなアウェイサポーターであり、スペイン語もろくにしゃべれない私に対して、本当に穏やかで優しく接してくれました。マラガの人々全体として言えることですが、とにかく笑顔が印象的です。本当に毎回素敵な笑顔を見せてくれます。きっと個々の人たちは心が豊かなのでしょう。それだけで十分幸せをいただいた気分になります。










選手たちのウォーミングアップも終わり、いよいよキックオフです。



われらが監督 Pepe Melさん。今日もよろしくお願いします。








いい雰囲気ですねー。







当たり前ですが、私の周りはみなマラガサポーター。GKも今夜はマラガを応援します。


前半はマラガが押し気味に試合を進め、ベティスは何度か危ないシーンを作られました。
そしてその時は後半にやってきます。

Ruben!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

やってくれました。やっぱり彼でした。周りが静まり返る中、私は一人で大絶叫。隣の女の子には怒られましたが、もう最高です。着ていったユニフォームの選手が得点したわけですから。持ってるなー。

試合はそのまま1-0で終了。ベティスはアウェイで貴重な勝ち点3をゲットしました。終了間際にマラガサポーターは帰りはじめ、幾分か人のいなくなった周りを見回すと...




きたねぇ。

イタリアもそうでしたが、スタジアムきたねぇ。これを見れば、試合終わって掃除までしていく日本のサポーターが感心される理由がわかります。


私はといえば、スタジアムが汚いなんてことは気になりません。それよりも何よりも、人生初のベティスの試合生観戦で勝利&着ていったユニフォームの選手が得点で、もはや地に足が付きません。感無量。人生は幸せで満ち溢れている。天にも昇るような、最高の心地です。


そのあとのことは正直それほど良く覚えていません。寝たのは確かです。次の日起きましたから。


そんな浮かれ気分で終えた一つ目のメインイベント。次の日に待ち受けるは二つ目のメインイベントです。

それではまた明日、Adios~。



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